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令和4度入学式(4/5) ―RECORDING THE MOMENT―

2022年04月11日 | イベント, 全て, 大学全般

令和4年4月5日、東京藝術大学の入学式が行われました。令和4年4月1日に就任した日比野克彦学長による、初めての入学式です。

 

 

第一部は学部の入学式。新入生たちは緊張した様子で着席し、じっと開式を待ちます。

照明が落ち、演奏者とともに、日比野学長が舞台に登場。
奏楽(Ionisation(イオニザシオン))が始まりました。シンバル、チャイム、銅鑼、サイレン、ピアノなどの多種多様な楽器が激しく打ち鳴らされ、振動が体にも伝わってきます。サイレンの咆吼が不穏に響く中、日比野学長はダンボールを手に黙々と何かを作っています。高鳴る音楽に合わせて宙に浮かび上がる無数のダンボール。時に鋭く、時に繊細に刻まれるリズム。サイレンの音が大きくなる。
音がやむと会場は拍手で包まれ、現実の世界に引き戻されました。

スポットライトの中で日比野学長が語り始めました。
「見慣れたものが違って見える瞬間
聞き慣れた音が違って聞こえる瞬間
それは、きっと 
いつもとはちょっと違う自分が現れた瞬間

それが何か
それが何になるのか
それはいったい何なのか

それは、きっと
揺れ動く人の心の中にいるアートと出会った瞬間」

入学式らしからぬ演出にやや面食らっている新入生たちに、日比野学長はある出会いについてのエピソードを話しました。色鉛筆で描かれたカラフルな絵と、その絵を描く人の話です。その人は、鉛筆削りに顔を近づけて削るときの音と振動を感じることが好きで、その音を聞きたいから、その振動を感じたいから、鉛筆の芯を丸くするために描いている。日比野学長はその人に会って、色鉛筆や画用紙の使い方を自らが限定していたことに気づきます。人との出会いによって、いつもとはちょっと違う自分に出会えたのです。「いろんな人たちに出会って、自分を育んでもらいたい」。と日比野学長は新入生たちにメッセージを送りました。

光井渉美術学部長、杉本和寛音楽学部長、桐山孝司大学院映像研究科長、熊倉純子大学院国際芸術創造研究科長、国谷裕子理事の5人が大学を代表して舞台に上がり、それぞれの「見慣れたものが違って見える瞬間、聞き慣れた音が違って聞こえる瞬間」のエピソードを紹介しました。
日比野学長はエピソードを聞いて、「いつもと違うと感じるのは心が揺れ動いた瞬間。心が揺れ動いたところにアートがあって、そこからいろんなものが想像/創造され発信されていく。そういう視点がアートにとってとても大事なんだと思います」と新入生たちに大切なヒントを授けました。

「全員でお祝いしたいと思います。全員起立!」「声は出せないけど、みんなでお互いに拍手したいと思います」
マスクで表情を隠し、私語を慎しんでおとなしくしていた新入生たち。立ち上がり、拍手を送るという行為を通じてコミュニケーションが生まれると、緊張が溶けたのか、笑顔になり拍手の音がどんどん大きくなっていきます。
「よくここまでやってきた! 入学おめでとうございます!」

拍手がやむと照明が落とされ、舞台上に演奏者がずらりと並びました。閉式の奏楽は手拍子だけで奏でる「Clapping Music(クラッピング ミュージック)」です。高鳴る鼓動と呼応するかのようなリズム。静かな熱気に包まれ、学部の入学式は幕を閉じました。